※情報誌「KURE:BAN」で紹介された副院長の記事引用

 

難病法が成立し、原因や治療方法が分からない難病患者さんに対する医療費助成制度が来年1月より大きく変わります。対象となる病気がこれまでの56から110に増えるので、今まで高額な医療費を負担していた方も負担が軽減されるかもしれません。

Q:難病って・・・?
難病とは発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立されず、希少な疾病であって、長期の療法を必要とするものです。
Q:指定難病って・・・?
難病のうち、客観的診断基準が確立され、患者数が一定数以下である病気に対して、良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いものに対して、厚生労働大臣が指定したものを指定難病といいます。
Q:治療費は安くなるの・・・?
指定難病は医療費助成の対象となります。医療費の自己負担額については所得によって異なります。詳細な内容については、かかりつけ医の先生あるいは広島県庁にお問い合わせください。
Q:指定難病に追加された腎臓の病気にはどんなものがあるの?
今回「多発性嚢胞腎」、「IgA腎症」が新たに指定難病に追加されました。
Q:「多発性嚢胞腎」ってどんな病気?
多発性嚢胞腎は腎臓の嚢胞(のうほう、分泌液がたまって球形の袋状態になったもの)が大きくなり、腎機能低下していく遺伝性の病気です。腎臓の働きが悪くなって透析が必要となる方もおられます。その他の症状としては、高血圧、頭蓋内出血、頭蓋内動脈瘤、頭蓋内及び他臓器への嚢胞の合併、心疾患、大腸憩室などがみられます。
Q:「多発性嚢胞腎」の治療は?
従来はタンパク質の過剰摂取を避け、降圧薬を服用して血圧を下げるくらいしかありませんでした。近年バソプレシンがサイクリックAMPという物質を介して嚢胞を増大させるため、その作用を抑えることで腎機能低下を抑えられることが分かりました。今年3月より保険診療のもとで多発性嚢胞腎に対して、バソプレシン受容体拮抗薬であるトルバプタンを処方できるようになりましたが、値段が高く、患者さんの自己負担額はかなり大きなものでした。
今回の新たな医療費助成制度により、多発性嚢胞腎患者さんの負担額は軽減されます。特に多発性嚢胞腎と診断された方が近親者におられる方々は、一度多発性嚢胞腎について十分な知識を持った医師(腎臓専門医療機関)に受診されることをお勧めいたします。当院でも対応しております。
「在宅血液透析」
ライフスタイルに合わせた透析で毎日を快適に過ごしませんか?

「在宅血液透析」は自宅に透析の装置を設置(施設から無償で借り受けます)して、介助者となる家族の協力を得て、患者さん自身が透析の準備から穿刺(針を刺す)、後片付けまでの一連の作業をすべて行う血液透析方法です。医療施設の管理 および指導のもと行います。2013年12月末現在、透析患者さんの数は31万人を超え、そのうち97%の方が施設に通院し、血液透析を受けております。在宅血液透析を選択されている方は、およそ0.1%の400人程度に過ぎませんが、その普及率は年々上昇傾向を示しております。
週3回、4時間の一般的な施設透析のスケジュールでは、透析不足を指摘されています。そのため、厳しい飲水・食事制限や内服薬によるコントロールが不可欠です。また、長期的には合併症を発症するリスクが高くなり、生命予後に影響を与えます。在宅血液透析は、自分の生活スタイルに合わせて都合の良い時間に透析スケジュール を組むことができます。また、透析回数に制限がなく連日透析も可能であり、十分な透析量を確保することができます。そのため、水分や食事制限が緩和され栄養状態も改善されます。また、体内に余分な水分や尿毒素が蓄積する量や時間が少なくなるので、貧血や高血圧の改善がみられ、その結果として薬の量が減ります。在宅血液透析は、腎移植に劣らない成績を得られており、施設透析に比べ 合併症のリスクが少なく、生命予後の改善に期待が持てます。当院では現在2名の方が在宅血液透析を実施しておられます。在宅血液透析を希望される方は当院へ気軽にご相談ください。

※在宅血液透析施行中に食事をしながらワインをたしまれている患者さんの写真です。

在宅透析患者さんの食事風景

医療法人中央内科クリニック